【支援先団体インタビュー】第5回 特定非営利活動法人 スマイリング ホスピタル ジャパン
「特定非営利活動法人スマイリングホスピタルジャパン」は、小児医療の現場に笑顔と笑い声が当たり前にある社会を目指し、さまざまな分野のプロの芸術家が、病気や障がいと闘う子どもたちにアートと触れ合う機会を提供している団体です。今回は、代表の松本惠里さんにお話を伺ってきました。
(左から)NPO法人スマイリングホスピタルジャパンの代表理事松本惠里さんとFIT2016広報チーム副実行委員長のTae Ahn
FIT:スマイリングホスピタルを立ち上げた経緯を教えてください
松本:設立を決めたのは院内学級の教員時代に出会った子どもたちとの関わりがきっかけです。病気なのに弱音も吐かずに勉強も遊びも頑張る彼らの姿を素晴らしいと思ったものです。そもそも、幼い子どもが重い病に罹ってしまう不条理にやり場のない怒りを感じていました。教科学習も行事も頑張る子どもたちでしたが、一番笑顔になるのは音楽や美術、芸術鑑賞会の時ということを確信し、この団体を立ち上げました。教員免許取得を目指して勉強中に私自身が交通事故に遭い、二年近く入院とリハビリで辛い時期を過ごした経験と配属されたところが院内学級であることを考えると運命的なものを感じます。
FIT:様々なアーティストさんに参加していただくことの良さは何だと思いますか?
松本:プロのアーティストによる本格的なアートを限られたい時間の関わりの中で、退屈は入院生活にエッセンスを加えられることです。また、子どもやお母さん方の笑顔を見られることと、アーティストさんたちの温かい心に触れられることです。例えば、アーティストさんたちが大道芸を披露したときの子どもたちの笑顔を見て、お母さんたちも笑顔になります。さらに、「そうしたお母さん方や子どもたちの姿を見ること自体がお給料」だと仰るアーティストさんもおり、本当にありがたいと感じています。
FIT:例えばどんな大道芸をされるのですか?
松本:お医者さんたちも巻き込んで協力してもらうこともあります。普段痛いことをするお医者さんがマジックを失敗するシーンでは子どもたちはまるで鬼の首を取ったかのような喜びようです。お笑いのボケとツッコミのようで、全員が「わー」と笑います。
FIT:ボランティアの方の中に外国人が多いようですが、どんな経由で外国人のボランティアの方も入られたのでしょうか?
松本:ボランティアのアーティストの中に外国人が現在3人いますね。パフォーマンスを主に担当していただいています。なんでかと言いますと、英語の教員をしていた頃の知り合いの内に、マジシャンでもあったALT(外国語指導助手)の人に、一緒にスマイリングホスピタルの活動をしてみないかと声をかけたのです。それから彼が他の外国人にも声をかけたりして、今まで増えてきたのです。
FIT:他の団体と情報共有はするのでしょうか?
松本:はい、横の繋がりも大事ですよね。他の団体さんと話すことによって、自分の団体をより豊かにできる為のヒントを頂くこともあります。
FIT:最後に、FITチャリティ・ランに参加する方々をはじめ、皆さんにメッセージをお願いします。
松本:最初は、大人として子どもたちに何かをしてあげたいという気持ちで始めたのですが、病気のため体が不自由で、一番遊びたい時に動くこともできない子どもたちが、辛いだろうけれど頑張って生きていく姿を見るだけですごく勉強になったと思います。子どもたちのおかげでこの活動を「させていただいている」という気持ちに変わっていきました。その子どもたちの頑張って生きていく勢いは大人としても学べることではないかと思います。その現場をFITの皆さんにも是非ご覧いただきたいと思います。
FIT:素敵なお話をありがとうございました。これからも応援します。
読んでいただきありがとうございます。スマイリングホスピタルジャパンのホームページ(http://smilinghpj.org/about/index.html)もぜひご覧ください。