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認定NPO法人 フードバンク渋谷

認定NPO法人 フードバンク渋谷は、渋谷区近隣住民を対象とした生活困窮者への食糧支援を行っています。今回は事務局長である久保田さんにお話を伺いました。

久保田事務局長

フードバンク渋谷を始めたきっかけを教えてください。

2008年よりプロテスタントのキリスト教会「Kingdom Seekers」の役員をしていますが、2010年に「B.F.P.JAPAN」というNPOを通して初めてフードバンクの存在を知り、人々の生活を支えるインパクトのある活動に感銘を受け、寄付という形でイスラエルのフードバンクに対する支援を始めました。その後、国内にもフードバンクがあることを知り、教会でもやってみようと2016年に活動をスタートしました。聖書の中の申命記(しんめいき)には「神は孤児やシングルマザーを保護し、在留異国人を愛して食物と衣服を与える」、「世の中には常に貧しい人たちがいるので、彼らに手を差し伸べ公正を行いなさい」と書かれており、それらを私たちは実践しています。同年には渋谷区清掃リサイクル課でも食品ロスへの取り組みとしてフードドライブが始まり、そのタイミングで行政の方からNPOの立ち上げを勧められ「NPO法人フードバンク渋谷」を設立し、私は事務局長として運営を担うことになりました。そして、生活支援相談窓口で生活にお困りの方に食糧支援案内状が発行され、清掃リサイクル課で集めた食品をフードバンク渋谷が配布するという連携が始まりました。

これまで活動を続けてきて最も困難だったことは?

フードバンク活動は食品の需要(利用者数)と供給(提供する食品量)のバランスを維持しながら、どのように活動を広げていくかが課題です。2020年まで、食品保管場所がメタルラック1台分しかない中で、可能な限り食品の寄付を受け入れ、配布している時期がありました。一時的に渋谷区役所仮庁舎の会議室や、渋谷区リサイクル推進課のある清掃事務所などを厚意で使わせていただき、保管場所を分散させていたため、食品の賞味期限の管理が大変でした。また、その後も物価高騰により利用者は増加傾向にあるため、食品保管場所の課題は続いていますが、今回のFITの寄付金の活用により保管場所を増やすことができました。

団体を立ち上げて良かったと思ったことは?

団体を立ち上げることでコミュニティを作りやすくなり、社会に変化を起こす可能性が広がったことです。フードバンク活動を始めて7年経ちましたが、活動を続ける中で「支援したい」と連絡をくれる人が増えています。同時に「こういう活動をしている人がいるのか」と、さまざまな出会いにも恵まれました。こういった出会いを大切に、他団体と協働して学習支援や地域の居場所づくりなどの連携事業にも取り組んでいます。パートナーシップの範囲を広げ、それぞれの団体ができることを持ち寄ると、社会の仕組みを変えていくことができると思います。個人の力ではできることに限りがあっても団体ではできますし、一つの団体ではできないことも他団体と連携することで可能になります。
また、近年フードロスという言葉もよく聞くようになり、企業がまだ消費できる食品を廃棄しないことが常識になってきており、災害備蓄品などの寄付の問い合わせが増えていることも活動の追い風になっていると感じます。

学習支援・こどもテーブル「学んでいい場所、いていい場所」

FITからの寄付金はどのように使用されていますか?

主に①食品保管場所の家賃支払いと備品の購入、②学習支援を実施する拠点の家賃の支払いと備品の購入、③ホームページのリニューアル費用、④安定した活動資金を確保するためにファンドレイジングや宣伝広告費用に活用させていただいています。
また、団体の「ビジョン・ミッション・バリュー」を専門家のアドバイスを受けながら策定しました。より多くの企業や個人の皆さまから活動への共感を得られるように広報に力を入れています。
・ビジョン 「あなたとつながる、渋谷でつながる」
  私たちは、人々と関係を作り、コミュニティの力で社会の仕組みに変化を起こし、
  渋谷を生きやすい街にします。
・ミッション 「Create dialogs through meals, Create value through dialogs.
  私たちは“食“をきっかけとして、対話を生み出します
  対話を通して知る一人ひとりの物語に、私たちは価値を見出します
・バリュー 「隣に立って、耳を傾け、手を開く」
  あなたの話に耳を傾け あなたが一歩先へ向かう勇気を信じて
  あなたのために手を開き続けたい

今後はどのような活動の広がりを考えていますか?

ビジョンに掲げているように、コミュニティの力で社会の仕組みに変化を起こし、渋谷を生きやすい街にしていきたいです。
今年度は障害者就労支援機関と連携した障害者の超短時間雇用に取り組むほか、他団体と連携した家庭訪問型家事支援の実施など、地域の関連機関・団体と一緒に連携事業を増やしていきたいです。

地域の連携拠点「笹塚十号のいえ」オープニングの様子

私たちからはどのような支援ができるでしょうか?

安定して継続的な活動資金を得ていくために、ファンドレイジングの仕組みを作っていただけると助かります。例えば、今回のように多額でなくてもFITの関連企業や社員の方が関心を持った団体の活動をクラウドファンディングで継続的に応援できるような仕組みがあったら良いなと思いました。

最後にこの記事を読んでいる方にメッセージをお願いします。

私自身、フードバンク活動を通してさまざまな理由で生きづらさを抱える人たちに出会い、社会の側の凹凸を考えさせられるようになりました。誰かの生きづらさに向き合うことは、みんなの生きづらさの解決につながるはず。それぞれの人が生きやすい道を見つけることができるように、道がなければ道をつくれば良いと思います。フードバンク渋谷との関わりをきっかけに、一緒にその道を考えてくれる人が増えますように!


認定NPO法人 フードバンク渋谷
https://foodbank-shibuya.org/

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