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一般社団法人 わたしのみらい

一般社団法人 わたしのみらいは、児童養護施設など、社会的養護を必要とする子どもたちに自立支援活動(就労支援、進学支援)を行っています。今回は「わたしのみらい」の代表理事である高橋さんからお話を伺いました。

わたしのみらい理事およびスタッフの皆さん

1. 高橋さんの経歴と、わたしのみらいを始めたきっかけを教えてください。

学生時代は幼児教育に興味をもっていたこともあり、見学に行った小舎制の児童養護施設に惹かれ就職しました。2歳から18歳までの児童を縦割りにして、職員が住み込み、疑似家庭を作っている施設でした。「愛さえあれば何とかなる!」という気持ちで始めましたが、それだけでは子どもが抱える課題への対応が難しく、心理的アプローチの必要性を感じ、心理療法を勉強するようになりました。そのような中で、少しずつ子どもたちへの理解も深まり、私自身も子どもたちと共に成長することができました。2002年に友人から、社会的養護の児童を対象とした自立支援プログラムを行うNPOを立ち上げたいので手伝ってほしいとの誘いがありました。当時はまだ自立支援プログラムというものが浸透しておらず、児童養護施設の子どもたちへの卒業前・卒業後のサポートが十分ではないという思いがあったので、それをきっかけとして児童養護施設や里親さんと連携しながら子どもたちに就労支援、進学支援を行う活動に関わることになりました。当初は高校3年生向けのプログラムを主に実施していましたが、もっと早い時期からの自立支援の必要性を感じ、2016年には中学生から参加できるキャリア設計プログラムを開始しました。そして2019年1月、全国の社会的養護児童が東京に集まって開催する自立支援プログラムを行いたいと、一般社団法人「わたしのみらい」を立ち上げました。団体のネーミングについては、大人が考える未来ではなく、子ども自身が考える未来であってほしいと思い「わたしのみらい」にしました。

2. 立ち上げに向けて最も困難なことは何でしたか?

初めは参加児童が少ない時もありました。子どもたちがプログラムに参加するにあたって重要なことは、まずはその施設の職員さんや里親さんたちにこのプログラムの必要性を理解して頂くことです。保護者側が子どもたちに必要だと感じて頂けないことには、この情報は子どもたちにまで下りていきません。そのため、ご挨拶に伺ったり、さまざまなイベントに参加したり、直接、私たちの活動を説明する形で働きかけ、次第に参加者も増えていきました。

一方で、小さな団体であるからこそ、子どもたち一人ひとりに目が配ることができ、何時でも『助けて(ヘルプ)!』との声があれば、必ず私たちの誰かが手を差し伸べられます。そのような関わりから、子ども自身が自分の幸せを創り上げていくことを共に考え、見守っていければと考えています。子どもたちとの関わりは楽しく、教えてもらうことも多々あり、また卒業後も関係性は続き、その子どもたちの成長が自立支援活動を続けるモチベーションになっています。

3. FITからの資金はどのように使用されていますか?

社会的養護体験者の卒業生を中心としたアフターケアが基本のシェアベースプログラム、つまり、"居場所作り"に使用していきます。シェアベース施設は、今はまだコロナのため本格的な開催には難しい面がありますが、1回あたり最大10人くらいの卒業生たちが、ひとつの部屋で一緒に食事を取ったり、研修プログラムで学び合ったりする、子どもたちの交流会と個別相談の時間を持ちたいと考えています。過去に2回ほどレンタルスペースを利用してシェアベース交流会を開催しました。2022年2月に開催したトライアルでは、卒業生が、卒業以降の各自の"モチベーションの変動のシミュレーション"をテーマに、『自分はこの時はこうだった。この部分は成長したな。』などと俯瞰することにより、改めて自分自身を再確認する機会になりました。5月にも"好きなことを語ろう"をテーマに第一回目の交流会を開催しました。今後、当面はリモートでの参加も含めたハイブリッドでの開催となりますが、こうした交流会を通じて卒業生同士がつながることがとても楽しみです。

自立支援プログラム 活動の様子

4. 2019年に団体を設立されて、活動をする上で、新型コロナウイルス感染症の影響はありましたか?

コロナ前は色々な職業紹介・職場見学を受け入れて頂いていたのですが、対面・集合のプログラムの実施が難しく、リモート開催を増やしました。地方の子どもたちや、気持ちの上で会場に行きづらいと感じる子どもたちも参加しやすくなりました。その一方、対面の場合は、子どもたちの言語化されないメッセージを直に感じ取れることもありますし、プログラム終了後も子どもたちとの交流がありましたが、リモートではそれもままなりません。今後は両方の良いところを生かし、対面とリモートのハイブリッド開催を進めていければと考えています。

5. 私たちからはどのような支援ができるでしょうか?

わたしのみらいでは、職業紹介・職場見学を実施しています。ぜひ皆様の職場を見学させていただいたり、プログラムにボランティアとしてご参加いただくなど、お力をお借りできますと幸いです。皆様との関わりを通して、子どもたちは体験を増やし、視野を広げることにつながっていきます。

6. 最後にこの記事を読んでいる方にメッセージをお願いします。

社会的養護とは何か、どのような子どもたちがいるのかを知って欲しいと思います。卒業後、子どもたちは様々な課題と向き合いながら懸命に生きています。そのような子どもたちが孤立することなく、社会の中で安心して希望を持ち、生活できるよう.な関係性を皆様とつくっていくことができればと思っていますので、ぜひ、私たちの活動に興味、関心を持っていただければ幸いです。今後も私たちは、子どもたちに「本来の自分でいいんだ」「自分はとても大切な存在なんだ」と感じてもらい、自分の将来にはさまざまな可能性があるのだと思ってもらえるような働きかけを続けていきたいです。

一般社団法人 わたしのみらい
https://watashinomirai.amebaownd.com/

わたしのみらい 高橋代表理事(1行目中央)、柴田理事(1行目右) (FIT2022実行委員取材メンバー左から順)山本、高橋、恒吉

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