NPO法人 チャリティーサンタ
2016年にFITチャリティ・ランが支援先団体の一つとして選定したNPO法人チャリティーサンタは、クリスマスシーズンの「サンタ活動」と、その活動を通して集まった寄付金で行う「チャリティー活動」の2輪で始まりました。2008年から、延べ1万人以上の大人がサンタクロースになり、2万人以上の子どもたちに「夢と特別な思い出」を届けてきました。2014年にNPO法人となり、年々新たな活動に挑戦している団体です。2016年は、1,686人がサンタになり、4,505人の子どもへクリスマスを届けました。それから約一年。FITチャリティ・ランは代表理事である清輔夏輝(きよすけ なつき)さんに、チャリティーサンタになるまでのご本人のモチベーションや夢、今後の目標などについてお話を伺いました。
(NPO法人チャリティーサンタ 代表理事 清輔夏輝さん)
FIT: 大雨にもかかわらず、本日は貴重なお時間を頂戴しましてありがとうございます。まず、ご自身についてと、チャリティーサンタを立ち上げたきっかけについて教えてください。
清輔:本日はよろしくお願いいたします。清輔夏輝です。33歳、福岡出身、4人兄弟の長男です。学生時代には建築家になろうと思っていたのですが、23歳の時に建築をやめて、ITの個人事業を始めました。その間に、人生をかけてやりたいことは何だろう、と悩むようになりました。実は、昔から自分に課していたことがあり、毎年、世の中の誰もやっていないことに挑戦するようにしていました。関心があることをネットで検索してみて、何も結果が出てこなかったら、そのトピックに関係する場所に色々と足を運んでみました。そのうちの一つがチャリティーサンタだったのです。クリスマスに行うチャリティ活動はたくさんありましたが、サンタが各自宅を訪問するようなチャリティはありませんでした。
清輔:25歳の時、自分はどんな30歳になるのだろう、20代後半をどのように過ごしたら良いのだろうと悩んでいたときに、知人に相談してみた結果、自分が一番幸せになれる方法はチャリティーサンタの活動だと決心しました。ただ、まだ社会人としての経験が足りないと感じ、それから修行として3年間ITの仕事を続け、そのあとに正式にチャリティーサンタの活動をフルタイムで行うことにしました。
FIT : 人の力になりたいという気持ちはどこから生まれたのですか?そのきっかけ、モチベーションについて教えてください。
清輔:母親の影響が大きいと思います。母がおせっかいなたちで、私たち兄弟はいつも「私たちは色々な人に助けられている」と言われて育ったので、無意識に周りの人の面倒をよく見ていたのだと思います。また、学生時代にヒッチハイクの旅をしたとき、見ず知らずの方々にたくさん助けてもらったことも影響していると思います。車に乗せてもらい、話をしていた中、「泊まる場所がなければうちに来なよ」と誘ってもらったりして、世の中親切な人がたくさんいるのだなと感じました。そのような経験を経て変わった自分を見て、親戚からはいまだに「あんなにシャイだった夏輝君は、どうしてこんなにも変わったんだろう」と言っています。
FIT:子どもたちと接していて気付いた点、学んだことなどについて聞かせてください。
清輔:活動を始めた頃、最初に気付いたことは、サンタを申し込む方の9割がお母さんだということです。そのお母さんたちのメールアドレスの多くには、子どもの名前が入っていました。子どもの名前を自分のメールアドレスに入れているのを見て、我が子に対する愛を感じ、すごく心が温かくなりました。実は当初、僕は裏方でサポートをしていたので、子どもたちと直接会うことはなかったのです。サンタ役のボランティアさんたちを見送り、裏方でコーディネーションやサポートをしていたのですが、お宅訪問を終えて会場に戻ってきたボランティアさんたちの顔がすごく明るかったのを覚えています。みなさんが盛り上がって自分たちの経験や喜んでいた子どもたちのことを楽しそうに語ってくれました。それまでに、一度も感じたことのなかったような、特別な幸福感を得ることができました。
FIT:IT のお仕事を辞めて一人でチャリティ事業を始めようと決めた時、周りからの反対、や心配する声はありませんでしたか。
清輔:反対は全然ありませんでしたが、「本当に大丈夫?やっていけるの?」と心配してくださった方はいました。最初は、全然思い通りにいきませんでしたし、時には諦め、時には後回しを繰り返しながら、色々な計画を続けていくうちに、なんとかなってきたように感じます。
FIT:何歳までサンタを信じてもらえると思いますか。
清輔:私たちの活動のデータを集めてみた結果、大体10歳くらいまでということが分かりました。小学校4~5年生まででしょうか。その頃に、学校の友だちから教えられてしまうことが多いようです。
FIT:活動の内容やマーケット調査をデータ化されているようですが、その理由は何ですか?チャリティ事業をデータ化することで、その他に気付かれた点などについても聞かせていただけますか?
清輔:2015年に受けたトレーニングで「君たちは、プレゼントを届ける子どもの数を1万人、5万人、10万人に増やす前にやることがあるのではないのか。顧客のことについてもっと調べなさい」と言われたのがきっかけです。その後、毎年プレゼントを届けていた家庭の年収について調べた結果、平均的に年収が高いことが明確に分かりました。長い間、家庭訪問をしてきましたので、感覚では何となく分かっていましたが、アンケートを取るまでは、世帯収入の高い家庭の割合がわかりませんでした。
清輔:あとは、世帯収入の低い家庭のクリスマスの過ごし方についてもアンケートを取り、調べてみました。クリスマスに何のプレゼントも用意ができない家庭があったり、もしくは親が仕事の関係で子どもと一緒に時間を過ごせず、幸せになるはずの時期に切ない思いをする家庭があることに気づきました。そこで、日本国内の困難な環境にいる子どもたちのために、「ルドルフ基金」を立ち上げました。今までやってきたチャリティ事業の内容の数字やデータがなければ、今後の方向性を決める時に迷いがちです。色々な経験をデータ化し始めた結果、将来何を目指すべきか、どの課題を乗り越えるべきか、確信をもって前に進むことが出来たと信じています。
FIT:現在のもやもや、悩みは何ですか?
清輔:サンタを呼ぶ方と、サンタになる方の成長率がなかなか合わず、調整することがとても難しいです。どうしたらこの団体を安定的に成長させていくことができるのかといつも悩んでいます。これまで行ってきたアンケートのおかげで、サンタを呼ぶ側についてはなんとなく分かってきたような気がしますが、今後は誰がボランティアになるのか、サンタになりたがるのかについて積極的に調べていき、チームワークも高めていきたいと思っております。
FIT:素敵なストーリーを聞かせていただきありがとうございました。
2017年度のクリスマスのチャリティーサンタ訪問受付&ボランティア受付が開始されました。 詳細は専用ページよりご確認ください。(https://charity-santa.org/)