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NPO法人つくばアグリチャレンジ

2018年に支援先団体として選ばれたごきげんファームは、障がいのある人が農業を通して地域に貢献し、お互い助け合い成長していく「地域共生型社会」を目指し、つくばで幅広い農作物を手がけている団体です。代表理事の伊藤文弥さんにお話を伺いました。


FIT:ごきげんファームを始めたきっかけを教えてください。
伊藤:学生時代にインターンとして議員の手伝いをしていたのがきっかけです。その議員の当時の関心ごとが障がいと農業で、色々と自分で調べていくうちに、障がいのある人たちの暮らしをどうしていけばいいかを一番に考えながら事業をやりたいと思うようになり、団体を立ち上げ、2011年に特定非営利活動法人認証を取得しました。

FIT:立ち上げや、その後の苦労はありましたか?
伊藤:立ち上げや1年目は大変でしたが、うまくいかなくても前向きに頑張ればいいので苦労とは感じませんでした。2年目になると課題も増え、障がいの有り無しに関わらず社員11人と、どう向き合って働いていくかに苦労しました。当時は56人の社員を雇ってのスタートでした。自分よりも全員年上で、社会人経験や福祉の経験がある人もいました。そういった方々に対して、大学を卒業したての自分がどうやって上手くまとめていくか、それが難しかったです。そこで自分も色々な研修にでて知識を身に付けたり、積極的に社員とコミュニケーションをとるなどして、徐々にお互いを尊重し、信頼できるようになったことでうまく機能するようになりました。

FIT:現在はファーム以外にも事業を拡大しているとお伺いしました。
伊藤:2011年当初は野菜だけでしたが、20171月にお米、2018年の1月にレストラン、そして4月には養鶏を始めました。ごきげんファームはただ単に障がい者の施設というだけでなく、地域にとって本当に必要と思ってもらえる価値のある事業を、狭くても深く、提供し続けていきたいと考えています。

例えば、現在地元の方向けに野菜セットを販売し直接届けていますが、畑を増やして地域外へも販売数をどんどん増やすのではなく、養鶏を始めることで、地元の方への野菜セットに卵を入れられるようになった。クズ野菜や米ぬか・もみ殻も、ゴミになるのではなく養鶏のエサになるので、それぞれの事業を高め、上手く循環させることができています。また働き手側も、事業の量ではなく幅が増えたことによって、動物好きな人は養鶏へ、体が不自由な人はレストランに飾る竹細工作りなど、向き不向きや障がいの状態などに応じて仕事が選べるようになりました。

FIT:どの事業も成功されていてすごいですね!秘訣はなんだったのでしょうか。
伊藤:まず、いい福祉・いい支援といい事業は別物なので、僕たちが必ずやっているのは、先生をつけるということです。福祉の勉強をしてきた人間が、福祉施設でいい支援ができたとしても、持続可能な「事業」を続けるためには、その事業に対しての専門知識だったり、モノが売れる環境だったり、福祉以外の知識が必要不可欠です。

実は最初の2年は自分たちだけで試行錯誤しました。例えばしっかり土作りをしていても種まきが10日遅れたら野菜は育たない、収穫日が10日ずれても売り物になる野菜にはならないなど、11つのプロセスは難しくなくても1つでも失敗すると事業にはなりません。そこで専門の先生をつけたのですが、上手く軌道に乗るようにはなりました。でも、未だにうまくいっていないこともたくさんあります。売れるものにするには農業のプロ達と同じレベルで戦わなくてはいけません。それを障がいがある人達と一緒にやっていくのはとても大変なことで、だからこそ必ず先生をつけるようにしています。もちろん頼りっぱなしになるのはダメですし、こちらがあまり考えずに聞くと怒られることもあります。

FIT:今後の目標を教えてください。
伊藤:子供から老人まで、お互いを尊重しながらみんなが参加できるような地域共生型社会を作りたいと考えています。非現実的に聞こえるかもしれないのですが、「食」は年齢や性別関係なく、全員に深く関係するテーマなので、障がい者を含む多様な人々と農業をする僕たちの活動の中にその可能性を見出しています。僕たちは色々な種類の野菜を作っているからこそその数だけ様々な人が関われますし、配達で野菜を届け、地域の人々と直接関わりを作っています。実は、レストランのウッドデッキは地元の人が作ってくれました。そうやって関わりを深めていく中で、障がいのある人たちが自分らしく生きていけるような社会/地域を作っていくためには、このファームが地域の人たちにとって必要だと思ってもらえること、いい施設になることがすごく大事だと思っています。だからこそ、もっともっと自分たちの価値を深めていけるような事業展開をして地域を巻き込み、お互い尊重し助け合いながら一緒にやって行きたいと思っています。

FITFITの寄付金の用途を教えてください。
伊藤:20199月に、暮らしの場(グループホーム)をスタートします。地域共生を目指す上で、働くことだけでなく暮らすことや遊ぶことも地域で一緒に取り組みたいと考えています。暮らしが変わると生活や働き方、その人自身の考え方も変わります。今までの障がい者施設は孤立していて、地域とあまり関わりがありませんでした。多くの障がい者がいるのに、普段一緒になることがないので、誤解されたり、逆に障がい者の人は閉じこもってしまったりしがちでした。僕たちはまず地域との接点を作りたいと思っています。僕たちが先に地域の方に貢献していくことで、少しずつ接点が増えていって、理解しあっていい関係が広がっていくと思います。助け合っていくだけじゃなくて、一緒に楽しむことができる、そういう場所を少しずつ増やしていけたらいいですね。

FIT伊藤さんのような考え方の人がもっと増えていけば、福祉だけでなく、高齢者社会やダイバーシティ、外国人等の雇用でも、地域社会と関わりをもって、助け合う社会を作っていけそうですね。本日はご協力ありがとうございました!

NPO法人つくばアグリチャレンジ:https://gokigenfarm.com/



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