公益財団法人 日本チャリティ協会
公益財団法人 日本チャリティ協会は、障害者(児)や高齢者が芸術やスポーツを通じて社会とつながることを目指しています。今回は、常務理事である高木さんにお話を伺いました。
協会を立ち上げたきっかけを教えてください。
1964年、最初の東京パラリンピックで初めて障害者スポーツがメディアで取り上げられましたが、当時の障害者への支援は生活に直結した分野が中心で、スポーツや芸術などの「文化」面への理解は進んでいませんでした。そのような中、当時組織されつつあったさまざまな障害者団体や個人からの声を受けて、私の父である故高木金次が、障害者芸術文化の推進と障害者の社会参加支援を目的に立ち上げたのが当協会です。以来、さまざまな芸術文化活動支援事業を行ってきましたが、その中でも、身体や知的、精神面で障害を抱える人々が障害区分を問わず取り組む芸術文化であるパラアート活動を通じて、1986年に画家の岡本太郎氏らの協力により開講したスクールや、毎年開催している国際交流展などで、障害者アーティストの自己研鑽、自己表現、文化交流、社会参加の促進を進めてきました。
パラアートスクールの様子
活動をしていて良かったと思えることはどのようなことですか?
障害者支援に限らず、何事も活動を継続し、さらに広げていくことは大変なことだと思います。その中で、長年の継続の成果を見られる事は何よりも嬉しいことです。パラアーティストの作品が、展示や受賞をきっかけに少しずつ世の中で認められたり、スクールで学ぶお子さんたちが単に絵が上手くなるだけでなく、周りに認められることで積極性や社会性が向上するのを見聞きすることは、私どもが行う活動の意義を再確認できる大変重要な機会でもあります。
パラアートスクールの様子
FITからの寄付金はどのように使用されていますか?
特に近年、活動の多様性に応じた環境整備が必要で、WEBの活用が日常化する中で、開設の要望を受けていながら、主に費用の面から実現できなかったデジタルアートクラスの開講と運営の費用に使わせていただいています。デジタルアートクラスでは、生徒たちは貸与されたタブレット端末を使用して、絵の具やパステルなどとは違った新たなアートの表現方法を学びます。昨今は支援学校でもパソコンやタブレットに触れる機会が増えていますので、特にアートと接点のなかったお子さんたちがこのクラスを通じてアートに興味を持つきっかけになることを期待しています。
今後はどのような活動の広がりを考えていますか?
デジタルアートは私どものパラアートスクールに対する時代の要求だと理解しています。パラアーティストが学ぶことができるスクールの重要性は変わりませんが、その形は時代に合わせて変わっていく必要があると思います。例えば、スクールに物理的に通うことができない生徒も、各種デジタルツールを活用することで授業に参加したり、講師から指導を受けられることなどが考えられます。デジタルアートは、デジタルツールとの親和性が高いので、より多くの希望者が参加できる仕組みづくりに生かしていきたいと考えています。
最後にこの記事を読んでいる方にメッセージをお願いします。
個性豊かなパラアーティストの作品は、見る人に新しい発見と感動を与えてくれます。毎年開催している「パラアートTOKYO国際交流展」と「東京都障害者総合美術展」は、類稀な才能に出会える素晴らしい機会です。ぜひ、会場にお越しいただき、作品をお楽しみください。そして、その作品一つ一つには、パラアーティストがハンディキャップを乗り越え、積み重ねた努力があることを思い出してください。そして、私どもの活動の意義をご理解いただき、さらなる障害者の芸術文化の促進のために、引き続きご支援をいただければ幸いです。
パラアートスクールの生徒たちの作品
公益財団法人 日本チャリティ協会
https://charitykyokai.or.jp/