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特定非営利活動法人 マギーズ東京

2016年に日本初の「キャンサーケアリングセンター」であるマギーズ東京をオープンした「特定非営利活動法人maggies tokyo」。今回は、その構想段階からセンターの立ち上げに至るまでを事務局メンバーとして引っ張ってこられた阪口祥代さんにお話を伺いました。阪口さんご自身、お父さまにがんが見つかった際、ご本人以上に周りの家族が深く落ち込んでしまう状況に陥ったそうです。その時「がん患者の家族は、第二の患者である」と強く感じ、がん患者のみならず周りの人誰にでも開かれたマギーズ東京の構想に深く感銘を受けたといいます。本業では、NPO法改正に取り組む議員秘書として働きながら、ご自身でもマギーズ東京をさらに広めるよう日々活動されています。


(左から)FITチャリティ・ラン2016実行委員長 レイモンド・ウォングさん、FITチャリティ・ラン2017総務チーム副実行委員長 西山 由貴さん、FITチャリティ・ラン2017 ボランティア 嶋 倫子さん、マギーズ東京事務長 阪口 祥代さん

FIT: マギーズ東京はどのような団体ですか。
阪口:「がん」に関わる全ての悩みを、患者さん本人を含め、ご家族、ご友人、誰もが予約なしに無料で立ち寄ることが出来る、英国発祥の相談支援センターが、私たち、マギーズ東京です。
英国内に20箇所、海外は香港、東京、バルセロナの3箇所あります(20178月末現在)。従来の医療、カウンセリング施設、また患者会とも異なる「キャンサーケアリングセンター」として、日本では2016年豊洲にオープンしました。がん患者の方だけでなく、そのご家族、医療従事者の方にもお越し頂いており、オープン10ヶ月で約5500名ものご利用がありました。センターの運営は、ほとんど女性スタッフによって行われていますが、利用者の方の3割は男性です。

FIT具体的な利用方法を教えて下さい。
阪口:平日10時~16時にご利用頂けます。当センターの特徴の一つとして、予約は一切必要ありません。もちろん、事前に書いて頂くような問診表も保険証も必要ありません。がんにまつわる不安なこと、相談したいことがあった場合には、おひとりでも、またご家族・友人どなたでも、無料で気軽に立ち寄っていただくことができます。

FIT訪れた方にはどのような対応をされていますか。
阪口:がんに詳しい専門の看護師、臨床心理士が常駐しており、利用される皆さんのお話を伺っています。患者さん自らが発するお話を元にさまざまな相談が進められますが、マギーズ東京のスタッフから病状等についてお聞きすることはありません。また、「こうした方が良い、ああした方が良い」というような指示をこちらから出すわけでもありません。私たちが行っているのは、患者さんが抱えている悩みの根本を一緒に見つけ出し、患者さんが少しでも前に進めるようお手伝いをすることです。

FIT : 利用したことが他の人に知られることはありますか。
阪口:ありません。まず、マギーズ東京のスタッフから個人情報を伺うことはありませんし、記録も取りません。来ていただいた方ご自身の主体性に任せてお話を伺っているので、お名前はもちろんですが、がん腫やステージ、病院名などもお話していただく必要はありません。心につまっているものを、その方のペースで吐き出していただけます。このように「匿名」で利用ができるという点に当施設の意義があり、安心してどなたでも利用していただくことができます。


FIT : センター内は非常に明るくて落ち着いた空間ですが、何か仕掛けがあるのですか。
阪口:マギーズのコンセプトに、「病院でも自宅でもない、第二の我が家のような居場所を提供する」というものがあります。建築の力を最大限に生かした、心をおだやかにする工夫がいたるところにされており、例えば、木の温もりを感じる建物、緑ゆたかな中庭、自然光の入る大きな窓、キッチンの配置など、癒しの空間を感じられます。これらは全世界のマギーズセンターのガイドラインになっています。FITで頂いた寄付金は、主にこのような設備の準備と購入に充てられました。

FIT : 今現在団体として抱えている課題はありますか。
阪口:「2020年問題」と私たちは呼んでいるのですが、現在の豊洲のこの土地の借地権が2020年で切れてしまいます。持続性のあるセンターとして、その後も活動は続けていきますが、やはり場所の問題は避けては通れません。早急に解決するために、日々、頭を悩ませています。また、NPO法人ということで、寄付金での運営のため、永続的な活動の資金調達も課題です。加えて、医療従事者が中心メンバーのため、長期スパンで事業計画を立てられるような人材が不足しています。


FIT : 団体として、今後どのような取り組みをしていく予定ですか。
阪口:スタッフも増えてきたので、今後は東京だけにとどまらず、全国の医療機関や企業に、こちらから働きかけていきたいと思っています。がん患者さんの就業支援のアドバイス、保険に関する話、がんになりにくい環境をどのように構築するのかといった大きな内容まで、がんのプロの視点から、できる限りのアドバイスを無料で行っていきたいと思っています。これらの取り組みは既にイギリスで行われていますが、長い視点では、こういった活動が健康経営として企業などからの賛同につながり、サポートを受けられる形につながると信じています。

FIT : FITに対してのメッセージがありましたら教えて下さい。
阪口:私たちだけではアクセスできないような方々にも是非、マギーズ東京の存在を広めていただきたいと思っています。がんは二人に一人がなる国民病です。ご自身が罹らなくても、ご家族や身近にいる大切な人ががんになってしまう可能性は十分にあります。そのような状況になった時、取り乱すことなく、「相談できる施設があったな」と思い出してもらえる、気持ちが落ち着くような存在を目指して私たちは日々活動しています。がん相談支援センターというと暗いイメージを持たれがちですが、マギーズ東京は、明るく開かれたセンターです。月に一回は、「オープンマギーズデー」という、どなたでもお越しいただける内覧日を設けているので、ぜひ一度、ご自身の目でどのようなセンターか見学に来てください。