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NPO法人子どもと共に歩むフリースペースたんぽぽ

NPO法人子どもと共に歩むフリースペースたんぽぽは、横浜市鶴見区を拠点に、学校や家庭・地域の中に居場所を見いだせない子共や若者たちが、安心して過ごせる居場所、学校外の出会いと学びの場を共に作ることを目指しています。今回は理事長である青島さんにお話を伺いました。


2024年の12月のクリスマス会でのケーキ作りの様子

青島さんがフリースペースの活動を始めたきっかけを教えてください。

きっかけは、息子が不登校になったことでした。息子は五年生のクラス替え後、徐々に学校に行きたがらなくなりました。
当時私は学童クラブで働いていたので、経験から、最初はただの喧嘩だと思い、子供に対処法を教えるなどしていました。今思うと情けなかったです。
しかし、そうこうしているうちに本当に学校に行かなくなりました。ある時、しばらく学校を休んでいた後、給食袋がゴミ箱に落ちていたと本人が言ってきた時に、
「これはいじめられているんだ」ということに気づきました。
そのときから地域の親の会に参加するようになり、そこで学校に行っていない子供を持つ家庭がたくさんあることを初めて知りました。
それから自宅で月1回子供とその保護者が集まる夕食会を開くことになりました。そのうちに、子供が継続的に集まったり、遊べる場所を作りたいということになり、現在の場所に事務所を借り活動をはじめ、2014年には特定非営利活動法人を設立しました。


2024年9月のお泊り会での一コマ

団体の活動も17年目ということで、団体を運営するに当たっての困難、あるいはやりがいを感じたことなどを教えてください。

一番大変なのは、資金面と後継者の育成です。現在の理事たちも高齢化していている中で後継者をどのように見つけるか、若い人に給料を払うためにはやはり法人賛助会員のような制度を拡充して資金的に余裕を持つ必要があると考えています。
やりがいを感じる場面は、やはり子供たちの成長や新たな決断を長いスパンで間近で見れる点です。それぞれ自分の道を切り開いたり、新しいことをスタートさせたりしています。中には学校復帰を選ぶ子供もいて、『自分はこういう資格を取ってみたいから学校に行ってみたい』という子が結構います。一人一人それぞれ違いますが、自分なりの一歩二歩を踏み出していくのを、長いスパンで寄り添うことができます。


2024年9月のお泊り会での一コマ

FIT寄付金を活用した活動について教えてください。

「不登校の子にわくわく、ドキドキする感動体験を!夢実現プロジェクト」と題した活動に使う予定です。学校に通っていたら、享受していたはずの体験や芸術鑑賞の機会を不登校の子どもたちにも提供し、感動や夢を膨らませる経験を実現します。その一環として、2019年から継続して開催している春風亭昇羊さんという落語家の方の落語会を今年は規模を拡大して開催する予定です。この落語家の方自身不登校だった経験があるそうで、不登校について地域の方々により知ってもらうきっかけとなるイベントとして落語のイベントを企画しています。

今後の活動計画について教えてください。

引き続き3年間程度の時間をかけてで「不登校の子にわくわく、ドキドキする感動体験を!夢実現プロジェクト」を順次計画の上、実行したいと考えています。具体的には、通常学校に通っていれば経験する修学旅行を体験していない子どもたちのための旅行体験や文化祭のようなイベントを考えています。

私たちからはどのような支援ができるでしょうか?

経済的支援として、法人賛助会員を増やし運営体制を整えたいので、その点について支援して頂けるとありがたいと思います。また、人材面でのサポートとして、英語学習やその他専門的な知識についてボランティアとして子どもたちに関わってもらえるとありがたいです。

最後に、不登校について社会全体に伝えたいことがあれば教えてください。

少子化で子どもの数は減っているのに、不登校の子どもは増加傾向にあります。しかし、当事者や学校の教育関係者以外には、不登校というのはよくわからない世界だと思います。何となく触れてはいけないような感じもするし、子どもが暗い感じに思われがちで、「なぜ学校に行かないでサボっているのか」というような誤解もあります。
不登校は車のバッテリーが上がった状態だと考えています。バッテリーが上がったら充電しなくてはいけないけれど、外から充電するのではなく、内側から充電しないといけません。充電がいつ完了するかは分かりませんが、だんだん充電されていくと、自分の中から動けるようになって、車が動き出すんです。家庭の中で「今の君でいいんだよ」「何があっても君を応援するよ」という家庭環境があると、子どもは結構充電されていきます。家庭で充電されるから、「何か動いてみようかな」という気持ちに繋がります。
不登校のきっかけは様々ですが、子供によって傷つき方も全然違うので、本当に深く傷ついてしまった子は、私たちがどんなに何かしようとも一生忘れることができないと感じています。一方で、つらい経験を忘れることができなくて学校に行かなかったけれども、行かなかった時間が全部無駄な時間になるのではなく、その子が自分に向き合ったり、苦しい中で色々なことを頑張った、そういう時間だとわれわれは考えています。
だからこそ、不登校について理解してもらうということが本当に大切です。知ってもらうことで不登校の子どもたちを取り巻く状況が変わっていくと思います。そうした世界があることを知って頂ければと思います。


青島理事長(左から2番目)と一之瀬理事(3番目)、および
FIT2025実行委員辻、黄田、山本

NPO法人子どもと共に歩むフリースペースたんぽぽ
https://www.freespace-tanpopo.com/

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