特定非営利活動法人バディチーム
特定非営利活動法人バディチーム(以下、バディチーム)は、東京都内で、子育て支援・虐待防止を目的とした家庭訪問型の支援活動を行っています。親の心身の不調、子どもの病気や障がい、ひとり親、経済的困窮など、様々な事情で子育てに困難を抱えているご家庭を訪問し、保育・家事・送迎・学習支援などを行うことで虐待の防止に取り組んでいます。必要に応じて、地域の民間団体と連携し、行政の支援に繋げるなど、様々なステークホルダーと密接に連携しながら活動を行っています。今回は、代表理事である岡田さんにお話を伺いました。
支援先の家庭を訪問する岡田代表
岡田さんの経歴と、バディチームの活動を始めたきっかけを教えてください。
私は看護師・保健師の資格を保有しており、精神病院の看護職を務めたり、音楽療法を活用したり、企業における従業員の健康管理を行うなど、医療・健康分野で経験を積んできました。
2000年に児童虐待防止法が制定されましたが、私自身の妊娠・出産の時期と重なり、報道で児童虐待に関するニュースに触れる機会が増え、他人事と思えませんでした。
私自身は、幸いにも周囲に子育てをサポートしてくれる人が多かった一方で、課題を抱えながらも周囲のサポートを得られずに子育てをしている人が多くいることを知り、いたたまれない思いでした。なにかできることはないかと考え、養育困難家庭の支援に携わるNPO団体に登録し2年ほど活動しました。その支援活動を通し、子育てに課題を抱える家庭と、定期的に関わるからこそ分かる困り事や、できるサポートがあることを知り、2007年にNPO法人バディチームを設立しました。
なぜ「若者支援」が必要なのでしょうか。
子どもの貧困という言葉とともに、子どもの支援は広がってきましたが、若者の支援はまだまだ足りていません。、幼少期から虐待や育児放棄などがあっても、誰にも気づかれずに、十数年もの間ただ家で堪えてきた若者は、実はそれなりの数でいると推測しています。約20年もの間、学びや一般教養の機会を奪われ身体だけが大人になってしまった若者たちにとって、頼れる人も十分にいない中、一人で自立することには、かなりのハードルがあるというのは皆さんにもお分かりいただけるかと思います。彼らは、20歳前後になってようやく親から逃げ出してきたものの、自分たちで安定した仕事や住まいを確保することが難しく、路上生活やネットカフェ、時には見知らぬ人の家を転々とする生活を送っています。こうした家庭に頼れない15〜25歳の若者に対して、「居場所」「住まい」「仕事」の支援を提供することで、社会参画をサポートする必要があると感じています。
これまでNPOの活動を続けてきて最も困難だったこと、あるいは良かったと思うことは何ですか?
団体を設立して18年経ちますが、「みんなで子育てする社会」をモットーに、年齢性別を問わず様々な人に参加してもらえる団体を目指しています。「子育てパートナー」と呼ばれる参加者は、学生から80歳代までと年齢も様々で、皆さん素晴らしい活躍をしてくださっています。子育てパートナーは必ずしも、子育て支援の専門家である必要はなく、むしろ専門家でないからこそできる支援があると実感しています。これまで社会課題に積極的に関わったことがなかった人が、活動を通して「価値観が変わった」、「感謝されて嬉しい」、などのやりがいを見出し、支援する側・される側の構造ではなく、互いに良い影響を与え合う相互扶助の関係性を築けていることは、私のやりがいに繋がっています。
一方で、運営面については常に課題を感じています。運営資金の安定性、人材不足はどのNPO法人でも課題ですが、特に成果指標についての計測が難しいことが課題です。子育て支援の事業は数値的な成果が短期間で出づらく、成果指標も全ての家庭で一律に測れるものではありません。また、資金面においては行政からの委託事業収入もありますが、まだまだやりたいこと、やらなければならないと感じていることが多くある中で、独自で運営している自主事業の財源は非常に厳しいです。ですので、今回FITより寄付金をいただけたことは大変ありがたかったです。使途が限定された助成金も多い中、自由度が高いFITからの寄付金はとても貴重でした。
【活動の様子】
FITチャリティ・ラン2024当日に支援先団体を代表してスピーチ
バディチームの小さな居場所「ばうむ」①
バディチームの小さな居場所「ばうむ」②
FITからの寄付金はどのように使用されていますか?
主に、自主事業「小さな居場所事業・ばうむ(場を生む、ドイツ語で樹木が由来)」の準備費用、および活動費用に充てています。
ばうむは事務所の近くに一室を借りて、訪問型支援事業で出会った支援を必要とする親子の一時的な居場所として提供しています。親子は衛生的な部屋で温かい手作りの食事を食べ、安心できる空間で心身を休めることができます。不登校や外出が苦手な親子は、不特定多数が集まる居場所などの利用が難しく、親子だけで煮詰まってしまうことがあります。そこで、一時的な居場所を提供することにより心に余裕が生まれます。ばうむで提供する食事の食材費なども寄付金を活用しています。将来的には宿泊もできるような場所にしたいと考えています。
私たちからはどのような支援ができるでしょうか?
今回、自主事業の財源として助成金ではなく寄付金としてまとまった金額をいただけたことは大変ありがたかったです。また、FITを通じて多くの方がバディチームの活動に興味を持ってくださったことは、私たちの励みになりました。今後は、各企業においてバディチームの活動説明会などを開催していただくなど、私達の活動内容を更に多くの人に知ってもらうお手伝いをして頂けたら嬉しいです。また、「サポーター」としてバディチームの活動に参加することに少しでも興味を持って頂けたら、月に2回程開催している説明会に気軽に参加してみて頂きたいです。様々な形で私達の活動に関わって頂けると思いますので、是非一度いらして下さい。
今後はどのような活動の広がりを考えていますか?
自主事業である小さな居場所事業を拡充させていきたいです。
また、子ども食堂やフードバンクなど地域の民間団体と連携し、行政だけでは掬い上げきれない家庭にも支援が届くよう、訪問型支援事業と連動した形の支援を行いたいです。
最後にこの記事を読んでいる方にメッセージをお願いします。
子どもの虐待防止に対しては様々なアプローチ方法がありますが、私たちは、家庭に直接訪問して、親子に寄り添うことが大事だと思っています。年齢・経験を問わず、「みんなで子育てする社会」に向けて、現場支援や寄付による応援などご自身のできる形で是非ご一緒に!活動にご参加くださると嬉しいです。
バディチーム事務局メンバー
岡田代表理事(右から3番目)、濱田理事(同4番目)、
その他右からFIT2025実行委員の谷山、佐藤、坂上、大西、中臺
特定非営利活動法人バディチーム
https://buddy-team.com/